歌詞は絶対に<星降る夜に迎えに行こう>にしようと決めた。

 メジャーデビュー10周年を迎え、来年3月27日(日)に初の日本武道館単独公演開催を発表した“Ms.OOJA”が、7ヶ月連続でデジタルシングルを配信リリース!2021年4月16日に第2弾「星降る夜に」をリリースしました。同曲は、プロデューサー・Ryosuke"Dr.R"Sakaiに加え、シンガーソングライター・麦野優衣とのコライト作品。Ms.OOJAの包み込むようなヴォーカルが癒しを与えてくれるミッドナンバーとなっております。

 さて、今日のうたコラムではそんな“Ms.OOJA”による歌詞エッセイをお届けいたします。今回はその第3弾。綴っていただいたのは、新曲「星降る夜に」のお話です。第1弾、第2弾にも登場した“芸森スタジオ”で生まれたというこの曲。歌詞や歌声、サウンドにも大きく影響している芸森の冬の魅力とは…。是非、その景色や温度も想像しながら、楽曲をお楽しみください。

~歌詞エッセイ第3弾:「星降る夜に」~

Ms.OOJAデビュー10周年記念企画7ヶ月連続配信。10周年と共に来年の3月27日の初の武道館 単独公演を向けて盛り上げていく企画。第二弾が4月16日リリースの「星降る夜に」だ。Uta-Netさんのうたコラムも本来、この7ヶ月連続配信にそって、3月16日にリリースの「FLY」から始まる予定だった。でも、私が勢い余って2月16日リリースの「はじまりの時」のコラムを書いてしまったので、いろいろ調整してもらって、そこから始まっている。

同じ16日リリースなんだから「はじまりの時」から数えて8ヶ月連続リリースでいいじゃないか、とお思いでしょうが(私も思っている)、この7ヶ月連続というところが味噌。ほんのりお知らせしている、7枚揃えた時のジャケ写の仕組みとその先の動きにも関わってくるのでそうなっていて。とにかく2021年は9月まで毎月16日新曲を出すということをやっていくので、何卒よろしくお願いしたい。

ということで「星降る夜に」だ。すでに度々登場している芸森スタジオ。この曲もそこで生まれた曲だ。気づけばこのコラム、芸森の話ばかりになっているけど、そんな機会もなかなかないし、曲作りに欠かせない要素だし、せっかくなので書かせてもらう。

夏にいくことのが多い芸森スタジオ。実は制作の間のお楽しみがあって、それはBBQだ。BBQをやるために夏の制作合宿をしている、と言っても過言ではないくらい、芸森のBBQは最高だ。

暑すぎない過ごしやすい気候の中、テラスでまる1日を完全にオフにして楽しむ。普通に肉を焼きビールを飲み、ハンモックに揺られているだけでも天国のように最高なのだけど、 ここ近年は札幌通いの中で仲良くなった一流料理人たちが持ち寄ってくれる品々のおかげでとんでもないことになっていた。

一昨年などは、ミシュラン2つ星の寿司職人による寿司、札幌でも屈指の焼き鳥、フレンチシェフが石窯で焼くピザ、行列が出来る店のラーメン、バーテンダーの作る本格フルーツカクテルなど、到底BBQのレベルではない料理が振る舞われ、しまいにはテントを張って、そこでスチームサウナをして整えるという、ちょっとしたフェス状態になっていた。さすがにそこまでのBBQはもう出来ないかもしれないとは思うが、そんなオフがあるから頑張って制作に挑める。

そんな夏とは対照的に、冬の芸森には冬ならではの良さがある。シンシンと降り積もる雪が、すべての音を吸収してしまうような静けさの贅沢。車寄せに大きなもみの木があって、雪化粧をしたその幻想的な風景は、なんだかおとぎの世界に迷い込んだような気持ちになる。

2020年12月、1年半ぶりに芸森合宿に挑んだ。コロナ禍の打撃はスタジオにも及んでいた。経営難から閉鎖を余儀なくされる寸前、最後のあがきで行ったクラウドファンディングによって奇跡の復活劇を見せた。ここがなくなって困るのは私なので、もちろん微力ながら参加させてもらったし、ラジオやSNSで知ったファンのみんなが協力してくれて、本当に嬉しかった。

メンバーはおなじみDr.Rこと酒井さんと、初登場のシンガーソングライターの麦野優衣さん。麦野ちゃんはソングライターとして数々の名曲を生み出しているだけでなく、ビルボードツアーではコーラスで参加してくれた素晴らしい才能を持つシンガーさんだ。新しい化学反応を楽しみにしつつ、そんなメンバーで曲作りを行った。

合間にはクリスマス前ということもあって、ボスの高瀬さんと食堂のツリーの飾り付けをしたり、暖炉で焼き芋を焼いたり。なんだかとても冬らしいことをして楽しんだ。そんな雰囲気も手伝ってか、全体的にエバーグリーンな優しく幸せな雰囲気の曲がたくさん生まれた合宿だった。

今回は同年8月にリリースしたカバーアルバム『流しのOOJA』の影響もあって、懐かしく普遍的なメロディーの曲が作りたいと思っていた。サビの頭のメロディーを作りながら、歌詞は絶対に<星降る夜に迎えに行こう>にしようと決めた。降りてきた!芸森の冬の澄み切った空気にきらめく星たちがぴたっと当てはまった。オールディーズな雰囲気で、星降る夜にトレンチコートにスカーフを巻いてクラッシックカーを運転してるような、そんな70年代の映画をイメージしながら曲を作っていった。

実は今回のボーカルは芸森の制作時に録音したものだ。MVにもその時の様子が登場するが、 制作時に録るボーカルというのは、その時にしかパッケージできないものがある。空気感だったりテンションだったり。都内のスタジオできれいにレコーディングをし直したものより、勢いで録ったプリプロの方が良いということが多々ある。そんなこともあっていつもレコーディングで使っているマイクを持って行ったのが大正解だった。芸森の冬の優しい空気がそのままボーカルに含まれていると思う。

そんな優しい曲「星降る夜に」は、新型コロナウィルスが再度猛威を奮っているこの時期に、少し疲れてしまった人たちの心にジワーッと染み込んで癒やしてくれるに違いないと信じている。

<Ms.OOJA>

◆紹介曲「星降る夜に
作詞:Ms.OOJA・Yui Mugino・Ryosuke"Dr.R"Sakai
作曲:Ryosuke"Dr.R"Sakai・Ms.OOJA・Yui Mugino