届かなすぎて、何も感じない、東京ドームを眺めながら。

 2020年6月29日に“THE BEAT GARDEN”が、初となる配信限定楽曲「」をリリースしました。新年度を迎え、新しい環境に身を置いた人々が、次々と目の前に立ちはだかる矛盾や葛藤に悩まされながらも、それでも“前を向いて頑張っていこう”という、そっと聴く人の背中を押してくれるミッドバラードです。注目度ランキングの最高位1位も記録!

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放ったTHE BEAT GARDENのUによる歌詞エッセイを【前編】と【後編】2日連続でお届けいたします…!綴っていただいたのは、新曲「光」にまつわる、あの頃の想いと、今の想い。あの頃、過ごした日々と、今、生きている日々のお話です。歌詞と併せて是非、まずは【前編】をご堪能ください…!

~歌詞エッセイ【前編】~

初めてのコラムです。
「光」という曲が生まれる源流となった
あの頃の想いと、今の想いを綴りました。


西所沢の駅前のコンビニ、夜勤をはじめて2年半が経った。今日も嫌いなバイトの先輩を狙ってミサイルを補充するようにジュースを並べていく。

バックヤード、本を雑に置いていく客に舌打ちをして廃棄のお弁当を食べる。

予定ではとっくにどこかの事務所に入って、ソロかグループかわからないけどデビューをして、最寄り駅で昔の同級生にサインでもねだられているはずだった。

現実はコンビニの夜勤だけでは、生活費も奨学金も払い切れず、最悪な日は寝ずにそのまま引っ越しのバイトに向かう。

体は辛いが、引っ越し屋の人達は大好きだ。優しくて、だらしなくて、パチンコとお酒が好きで、お金もないのに昼飯を奢ってくれたりする。

このバイトも
もうすぐ始めて10年が経つ。
誇らしいのか、情けないのか。


ネットで見つけた新人発掘のオーディションを受けた。飯田橋の小さくて、少し床がベタついたスタジオだった。

聞いているのか、聞いていないのかわからない偉そうなおじさんに「上手いけどオリジナルの曲を作った方がいい」と言われた。

そんなもんわかってる。

帰り道に少し遠回りをして帰った。

届かなすぎて、何も感じない

東京ドームを眺めながら。

<U>

~【後編】へ続く~

◆紹介曲「
作詞:U
作曲:MASATO