運命だったかどうかは、最終的には死ぬ時にしか分からないのかも。

2020年8月5日に“さとうもか”がニューアルバム『GLINTS』(読み:グリンツ)をリリースしました。きらめきを表す「GLINTS」と名づけられた今作は、夏の恋にまつわる短編映画10作のオムニバスのような、自身初の季節をテーマにした作品に。アルバムと同タイトルのリード曲「Glints」は、突き抜けるような爽やかさと勢いがありながら、淡い夏の情景が浮かぶ、きっと誰もが体験した奇跡の瞬間の連続で起こる最高の夏を歌った1曲となっております…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“さとうもか”による、歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第1弾に続く第2弾です。綴っていただいたのは、収録曲「オレンジ」にも通ずる“運命”のお話。みなさんは、運命の人だと信じて疑わなかった相手に対しての“ズレ”を感じて、戸惑ってしまったことはありませんか…?

~歌詞エッセイ第2弾:運命はただのおまじない~

今回3rdアルバム『GLINTS』は、夏をコンセプトにして、10人の主人公を立てた曲を書いたものなのだけど、その中の「オレンジ」という曲の主人公が1番私に似ていると思う。

私は、運命というものをかなり信じている。いや、もしかすると“かなり”ではなくて“すごく”かもしれない。これは今に始まった事ではない。多分中学生の頃からじわじわと、その考えを自分に浸透させてきたような気がする。

運命は時にはひどい事もするけれど、基本的には私を救ってくれる。例え何か最悪な事が起こったとしても、元々そうなる運命だったのかも、と運命のせいにすればほんの少し心が楽になったり、解決までしてくれる事だってある。

たまに自分のそういうところはズルくて嫌いだなと思う時もあるけど、なんならそれもそういう性格になっていく運命だったのかもしれないなんて思う。という事はそもそも、こんな風に運命を過信するようになった事も運命なのか?という事は、この家に生まれた事も運命で、今こんな事を考えている事も運命で決まっていた事なのか?

…この話をこれ以上続けると、多分最終的には宇宙の話になって行き、「やっぱ宇宙って広くて不思議だな~」という小学生がふと思うような事を思って終わるだろうというところまで想像がつく。なぜ分かるかと言うと、もう何度もこのループにハマった事があるから。こんなにも神秘的なベールと説得力を纏った、何の根拠も無くて地に足の付かない理論は、この世には運命以外存在しないんじゃないか?とさえ思うほど。

そんな運命信者な私にも転機があった。私は昔から頭で考えるより、直感や感覚で色んなものをとらえてきた。説明書なんてほぼ読んだ事がないし、心の思うまま、手の動くまま、本当に動物的に行動しているような気がする。あえて直感や感覚だけで色んなことを判断しようと心がけていた時期もあった。そういう考えが根底にあるからか、私は性別問わず、人に対してよく「この人、なんか運命かもしれない!」と思っていた。

でもここ最近になって、運命っぽいと思っていた人でも深く知っていくと、考え方が全く違ったり、タイミングが合わなかったりして、かなり頭を悩ませた出来事もあり、運命と自分の感覚を信じたかったけど、段々その感覚を疑うようになった。

その辺りから私は、運命は運命なんじゃなくて、私の中のおまじないみたいなものだったのかもしれないと気付いた。運命だったかどうかは、最終的には死ぬ時にしか分からないのかもしれない。そしてきっと、元々決まっていたのではなく、自分の行動次第で変わって行くものなのかもしれない。

そう気づいてから、フィーリングだけじゃなくて自分の気持ちで選ぶことを心がけるようになった。自分の気持ちで選ぶということは、自分の行動に責任と自信を持つということ。なんとなく、これは私にとって大人になっていくということの1つのステップだったのかもしれない。

オレンジ」は私の曲の中ではキングオブポップソングなので、是非このよく分からない運命論は全て忘れて聴いてみてほしい。

<さとうもか>

◆紹介曲「オレンジ
作詞:さとうもか
作曲:さとうもか

◆3rd ALBUM『GLINTS』(読み:グリンツ)
2020年8月5日発売
ANCP-006 ¥3,000 (税込)

<収録曲>
1.Glints
2.オレンジ
3.Poolside
4.愛ゆえに
5.パーマネント・マジック
6.Strawberry Milk Ships
7.あぶく
8.アイスのマンボ
9.My friend
10.ラムネにシガレット