他人の価値観に影響されることはおかしなことでもなんでもない。

  2019年3月26日に“Salley”が最新EP『Sunrise and Sunset』をリリースしました。ボーカル・うららと、ギター・上口浩平の二人からなるSalleyという個性をしっかりとのせた今作。全体を通して【前に進むこと】をテーマに今までよりも強いメッセージが描かれており、デビュー5周年の集大成とこれからも進んでいく彼らを感じられる一枚です。

 そんな二人は来たる2019年9月7日に“Salleyふたりワンマン『S・A・L・L・E・Y』を開催決定!最新作の収録曲もじっくり味わえるスペシャルなステージとなることでしょう。さて、今日のうたコラムではそのSalley・うららさんが歌詞エッセイを執筆!3週に渡って、記事をお届け。第2弾では、EP『Sunrise and Sunset』収録曲「憂鬱ロマンティック」についての想いを綴っていただきました。第1弾に引き続き、ご堪能くださいませ…!

~「憂鬱ロマンティック」歌詞エッセイ~

 ミルクが苦手だ。コーヒーはブラック、紅茶はストレート、スタバでは「生クリームのせないでください」って注文する。ときどき、そんな自分がちょっと嫌だ。なぜなら、ミルクや生クリームは「カワイイ」し「インスタ映え」だし、私は「カワイイ」ものや「インスタ映え」が好きだから。

 これは余談だけど、よく、「女子はなんでもカワイイ、カワイイっていう」なんて批判を目にする。「女子は」かどうかは置いといて、少なくとも私は、割となんでも「カワイイ」と思ってしまう。多分、細かく分析していけば、様々なものに対して発した「カワイイ」という言葉をその都度文章に置き替えられるんだろうけど、「カワイイ」はもっと直感的なポジティブな感情で、「好き!」に近い、って私は思ってる。

 話を戻して、じゃあ、「おいしくない」と感じるくせに、みんなが「カワイイ」って言うから「カワイイ」の?好きなの?嫌いなんでしょ?流されてる!自分を持ってない!と、思われるかもしれない。出た、これがインスタ蠅だ!なんて、うまく言ったつもりのただの悪口を投げつけられるかもしれない。

 ただ、私の返事はこうだ。
 
「その通り!」

 矢沢あいの漫画『Paradise Kiss』の中に、こんなセリフがある。

“誰だって自分の意志に完璧な自信なんてない。身近にいる人間の考えに左右されながら迷ったり悩んだりしてるんだ。”


 社会にいる以上、他人の価値観に影響されることはおかしなことでもなんでもない。好ましいと思う人の考えと、自分の感覚が、自分の中に同居することもある。自分では似合わないと思った服でも、着てみるとみんなから評価されるときだってある。それって、ネガティブなことじゃないでしょう?

 自分の勝手にしたいけど、一人は淋しい。甘美で楽しい時間を過ごしているけど、ちょっと憂鬱。

 強い意志や明確な考えがなくても、そんな自分をくだらないと思うことはない。ぼんやりしている時間があってもいいし、わからないって思うことがあってもいい。前に進みたいなあとか、あっちへ行きたいなあとか思いながら、居心地の良い場所でゆっくりする日を否定しなくていい。矛盾した感情も全部ありのまま受け入れていればいい。自分はこうだから、と決めつけなくても、どうせこの世に同じ人は二人といないのだから、もうすでにあなたは「自分らしい」ので大丈夫。

 向き合うことや、前に進むことって大切だけど、急いで答えを出すことが絶対的な正義ってわけでもないし、ま、よくわからなくなったら音楽でも聴いて、けだるいベースラインに身を委ねて、いったん忘れてみてもいいんじゃない?時間が止まらず進むように、あなたもいつか自然に進んでいくんだし。

 なんて、インスタ映えしないブラックコーヒーを飲みながら書いているのでした。

<Salley・うらら>

◆紹介曲「憂鬱ロマンティック
作詞:うらら
作曲:上口浩平

◆最新EP『Sunrise and Sunset』
2019年3月26日発売
<収録曲>
1 サンライズ・アンド・サンセット
2 セカイ
3 憂鬱ロマンティック
4 プレイヤー
5 淋しがりやのLADY
6 証 -あかし-
7 emerge
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【第3弾】