2020年、2週間に1度のペースでリリースしてきた“連続配信曲”に新曲2曲を加えた全16曲入りデジタルアルバム!

 2021年2月10日に“平井 大”がデジタルアルバム『Life Goes On』をリリースしました。今作には、SNSでカバー動画やカップル動画が多数投稿され、歌ネットでも歴代人気曲に認定されたヒット曲「Stand by me, Stand by you.」をはじめ、2020年の5月からスタートした2週間置きの“連続配信曲”に新曲2曲が加わった全16曲収録のデジタルアルバム。生き方も歌詞も「ありのまま」であることを大切にしているという彼。インタビューでは収録曲に込めた想いはもちろん、様々な価値観をお伺いしました。生きている限り、何があっても続いてゆく人生、続いてゆく愛、そのお供に、是非このアルバムを…!

(取材・文 / 井出美緒)
Romeo+Juliet -Love goes on-作詞:EIGO (ONEly Inc.)・Dai Hirai 作曲:Dai Hiraiすれ違うシーンも布石にしちゃって
誰もがココロ打たれるエンディングを迎えよう
不器用なふたりの Love Story 謝る Romeo と呆れてる Juliet
Baby, ここで許して 100万1回目のKissと
ディカプリオも想定外の とびっきりの結末がほら ここにあるよ
Bad Endじゃ終われない 今夜のStory
もっと歌詞を見る
好きなことだけを追求する人生のサンプルになりたい。

―― 大さんはご家族の影響で幼い頃から日常のなかに音楽があったんですよね。

そうですね。音楽というより楽器がいつもそばにありました。だからあまり音楽に対して「ここからが仕事だ」とか「これを仕事にしていくぞ」とか思ったこともないんですよ。ミュージシャンって免許書や資格が必要なものでもないし。当たり前に好きなことをやっていたら、だんだんと仕事になっていたという感じですね。

―― いちばん最初に歌詞を書いたのはいつ頃ですか?

自分の好きな楽器で曲を表現し始めたのが中学生ぐらいの頃。歌詞は18歳のときに初めて書いたかな。でも僕は歌詞を書いたり、歌を歌ったりするのが全然好きじゃなかったんですよ。どちらかというと、楽器を弾いたり、メロディーを考えたり、そういう時間が好きです。

―― 当時の歌詞と今の歌詞を比べたら、わりと変化は大きいですか?

自分の肌感覚ですけど、今の歌詞のほうがずっと素直だと思います。最初に歌入りの曲を作ったのが「ONE LOVE~Pacific Harmony~」で、ホノルル フェスティバルというハワイのお祭りのイメージソングとして依頼をいただいたんですね。そのときは「英語と日本語で歌詞を書いてください」とオーダーがあったので、右も左もわからないまま、1番を英語で、2番を日本語で書きました。なんかそのとき、すごく言葉のパワーって強いなって感じたんですよね。それまでは自分の奏でる楽器のサウンドやメロディーに、メッセージを織り込んでお届けしてきたけど、歌詞は直接的に言葉で表現できるわけじゃないですか。心にメッセージを届ける強力なツールだなと。

でもだからこそ当時は、自分のなかで「こういう歌詞がみなさまに受け入れられやすいだろう」とか「よりみなさまに聴かれなきゃいけない」とか「共感されたい」とか、そういう感情が強かったかもしれないです。こうでなきゃいけないみたいな。ただ、そういうことを考えながら書いていると、自分でどうしても壁を作っちゃう。それよりも、ありのままの素顔で表現した歌詞のほうが、お客さまの心に届きやすい気がします。だから今は自分から出てきた素直な言葉を歌詞にすることが多いですね。

―― 普段はどんなときに曲が生まれることが多いのでしょうか。

作ろうと思ったとき、ですね。降ってきたら楽だけど、なかなかそういうことはなくて(笑)。わりとリリースの前にならないと作らないかな。いざ作るとなったら、やっぱりいちばんインスパイアをもらうのは日常生活。あと去年はInstagramでお客さまからいただいた「別れの曲を聴いてみたい」というコメントを受けて、作ってみるということもしましたし。クリスマスのタイミングでリリースした「Starbucks, Me and You」は、スターバックスさんのInstagramでお客さまやパートナーの皆様から集まったスターバックスホリデーのエピソードを募集して、それを歌詞にするということもしました。でも結構、思いつきも多いのかな。「あのとき、お客さまがこんなこと言っていたからこういう曲にしてみよう」とか「こないだのあの景色がきれいだったからそういうイメージで作ってみよう」ということなどを大切にしました。

―― コロナ禍でのステイホーム期間、歌詞づくりが大変だったりはしませんでしたか?

photo_01です。

いや、僕はそもそもあんまり人に会うのが好きじゃないから、逆にすごく楽でした(笑)。家からラジオ出演もできるし、出張のときの品川駅の人混みも味わわなくていいし、平和な一年だったんですよね。それに、意外と向き合ってみると、日々の感情って違って。天気によっても大きく左右されますし、飼っている犬と散歩に行くときの気持ちも違う。ちゃんと心にフォーカスしていくと気づくんです。そういう感情の変化は、生まれてくる曲に繋がっていたと思いますね。

―― 歌詞を読んでいても、SNSを拝見していても、大さんは日常のなかにいろんな感情や幸せを見つけることが上手な方だなと感じます。

多分、意識しているからじゃないかなと思います。職業柄、良い意味でも悪い意味でも、僕にとって生活と仕事はすごく近いものなので。だから常日頃、何が自分の曲の材料になり得るのかというアンテナを張っているんですよね。それは映画かもしれないし、写真かもしれない。そうやってアンテナを張っていることによって、自分の小さな心情変化にも気づきやすいのかなって。

―― また、先ほど歌詞面の変化のお話でもおっしゃっていましたが「ありのまま」であることの大切さについても、よく発信されていますよね。周りを見ていて“生きづらそうだな”と感じる面も多いのでしょうか。

まぁなかには「生きづらい」と言うこと自体がイケていると感じているというか、ネガティブな感情に向き合っている自分に生きがいを感じているひともいますよね。ただ、コメントを読んだりしていると、難しく考えすぎているなって思う部分があります。本当はシンプルなんですよ。僕の場合なら、自分が良いと思って作った音楽に対して、そりゃいろんな意見があるわけで。好いてくれるひともいれば、めっちゃ嫌いなひともいる。でも僕は、僕の音楽を愛してくれるひとのために作りたいと思っています。

ひとに対しても好かれようとすることがないですね。きっと僕のことを嫌いなひとは、世の中にたくさんいると思うけど、そういうひとたちはこちらが無理して変わらなくても、自然と離れていくから。実際に今、本当に好きなひとしか周りにいないですし。きっと「嫌われているひとにも好かれたい」みたいな気持ちが、シンプルなものを複雑にしてしまっているんだと思います。そこをあんまり気にせず、好きなひとやものだけを大切にしていくことが、ありのままに生きていくことに繋がっていくんじゃないかな。

―― ただ、コメントの中には「とはいえ、ありのままであることは難しい」「好きだけじゃ生きられない」という声も見られますね。

そういう意味だと、僕はラッキーなんだとも思います。たまたま音楽という大好きなものが仕事になって、ありがたいことにそれで生活を育むことができて。それだけ音楽に費やす時間は人より多かったんですけどね。だからこそ、そんな僕がみなさまに「ありのまま」で生きるために伝えたいなと思っているメッセージは、やっぱり“好きなことにちゃんとフォーカスして、そこを追求していく癖をつけていく”ということなんですよね。それが充実した人生を送る上で大事なのかなって。

好きなことだけを追求する人生というのも選択肢としてある。好きなことばっかりやっていても、意外とそれが生活に結びついてくることもある。そういうサンプルに自分がなりたいんです。「あぁこういう生き方もあるんだ」という感覚で、捉えてもらえたら良いなと思いますね。

―― 大さんは、基本的にいつもポジティブでラフな気持ちでいられるのでしょうか。

いや、僕は意外とネガティブだしいつも不安ですよ。たとえば、何かトーク番組に出たら、終わったあとに「あー、こう言わなきゃ良かったかな」とか。曲もリリースしたあとに「あー、あそこにギターフレーズ、あれで良かったのかなぁ」とか。あと、わりと本番で間違えるんですよ(笑)。だからそういうことがないように、すごく練習します。

―― いつも不安があるというのは意外です。

そうなんですよ。でも音楽は大好きなことだから、練習することを努力だとは思っていません。すごく不安があったとしても「練習しなきゃ」じゃなく「いっぱい練習したい!」みたいな、そういう感覚なんですよね。

123次のページ