もし、この世に運命の人なる者がいるなら。

 2022年4月20日に“ウソツキ”がデジタルシングル「x分の1」をリリースしました。他愛のない日々の中で、他愛のない出来事をあと何回できるか…。いつか終わりが来てしまうから、今この一瞬を大事にしたいという切なさや儚さを感じる楽曲となっております。また、5月23日(月)=“恋文の日”にはワンマンライブも開催!
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ウソツキ”の竹田昌和による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回。綴っていただいたのは、ウソツキの楽曲「春風と風鈴」にまつわるお話です。もし、この世に運命の人なる者がいるなら、それはどうしたらわかるもの、何で決まるものなのでしょうか…。ぜひ、歌詞と併せてお楽しみください。



もし、この世に運命の人なる者がいるなら
それを決めるのは
「何を見ているか」
なのかもしれない
っと、ふと思った
 
渋谷スクランブル交差点を
歩く
何百人もの他人とすれ違っていく
同じ空間にいるけど
彼らは一人一人違うものを見てる
 
この話は実際に目に入ってるものだけじゃない
 
昔、気になってる女の子とご飯を食べに行ったりなどした
今思えばデートだ
そのデート中で知った彼女は
とても気が合う
子供の頃から同じものが好きで
大人になっても同じ映画の監督が好きだった
僕はこれが運命か、、など気持ち悪いことを思いつつ
一緒に映画を見ることになった
しかも、行き先は彼女の家だと言う
 
 
大変だ
 
 
正直
映画どころではない
 
 
まぁ、その後なんやかんやありつつ
てんやわんやで
お付き合いすることになったのだけど
 
そこで気づいた
僕らは
同じものを見ているのに
違うものを見ていた
 
同じ映画見ていても違うところで
笑ったり、感動したりしていた
そんなすれ違いで
僕らはすぐ別れた
別れ話をする日
僕らは割と泣いた
 
その時、僕はずっと
ベランダに取り残された
季節外れの風鈴を見ていた
彼女は何を見ていたんだろう
 
同じ時間、同じ場所、同じ感情だとしても
人は割と見ている所が違う
 
もし、この世に運命の人なる者がいるなら
きっと
ふとした時、同じものを見ている人なのかも知れない
ちょうど、道ですれ違ったサラリーマンが
カツラかどうか気になった
僕らみたいに。

<ウソツキ・竹田昌和>


◆紹介曲「春風と風鈴
作詞:竹田昌和
作曲:竹田昌和