隠していたものが、少しの引き金で全部溢れてしまった。

 独自の言語表現を持ったシンガーソングライター“Ran”が8ヶ月ぶりの新作を4か月連続で配信リリースすることが決定!2022年11月11日に第2弾「piece of gum」がリリース。1960、70、80 年代の歌謡曲に多く使用されていた、同主調転調のコード感を使用し、エモーショナルな展開を意識した作品に。楽曲タイトルは、噛み終わったガムみたいな愛をずっと口の中に含んでいる、という意味合いが込められております。
  
 さて、今日のうたコラムでは、そんな“Ran”による歌詞エッセイをお届け!第2弾は新曲「piece of gum」のお話です。トラックから制作するという初の試みに挑戦したからこそ、生まれた歌詞の世界。主人公の人格。ぜひ、歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。



今回、はじめての挑戦をしました。
 
最初に海外のトラックメーカーチーム・Jean Luc Ponponさんにトラックを提供していただき、トラックから制作するという方法です。
 
はじめ、詞もメロも全く浮かびませんでした。このトラックで何を歌えばいいんだろう、と1ヶ月くらいずっと悩んでた記憶があります。
 
新しい挑戦だし、詞の世界も新しいものにしたいなと漠然と思っていました。
 
『隠していたものが、少しの引き金で全部溢れてしまった』
 
そんな大きな枠組みの中でこの曲の主人公の人格をつくりました。
 
孤独で孤独で、誰かと居ても孤独
執着に気付かずに来るところまで来てしまった
いきすぎた嫉妬や、捨てたのに捨てきれなかったもの
 
曲が進むにつれて、かなり過激な文になっていく歌詞ですが、私の中では、裸になる、この主人公の後悔や執着が吹っ切れていくように書きました。
 
噛んだ 味のしない愛を捨てて
私の望む愛をもう捨てて
去った者を見送ってそれにも身を任せた
崩れる音に耳を傾ける
掻いた傷を数えながら解る
何も見たくないと閉じた目ももう要らない
 
全部がお気に入りと言ってもいいくらい気に入っています。
新しい風と今までの風、うまい具合に混ざったのではないかと感じています。
 
この曲の主人公になりきっても良し
この曲を聴いてドン引いても良し
この曲の主人公を俯瞰して観ても良し
色んな方法でこの曲を楽しんでいただきたいです。
 
<Ran>


◆紹介曲「piece of gum
作詞:Ran
作曲:Ran・Akihiro Kawashima・Jean Luc Ponpon