身も心も擦り減っている、気付いた時には痛みさえ麻痺していた。

 2020年9月2日、スキルの高さと予測できない曲展開が特徴的な4人組バンド“ペンギンラッシュ”がニューアルバム『皆空色』をリリースします。尚、4月からアルバム収録曲のうち3曲を先行配信するなど意欲的に活動中!感情表現豊かな鍵盤サウンドや低めの女声ボーカルが耳をとらえて離さない楽曲をリリースし続ける彼女たち。現状打破への意思や自分の手で未来を掴みに行く強さを感じることのできる最新作にご期待ください…!

 さて、今日のうたコラムでは、そんなニューアルバムリリースに向けて、ペンギンラッシュ・望世(Vo.)による歌詞エッセイを3ヶ月連続でお届け!今回はその第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「色彩」に通ずる想いです。理想を追いかけてきたがゆえの“多忙”が、いつのまにか、大切なものから目を背けることになってしまっていること、みなさんにも経験ありませんか…?

~歌詞エッセイ第1弾:「色彩」~

多忙、が好きだった
何故だろう
忙しさに身を任せていれば
自らの内面と向き合わなくて済むから
追い求めているものがあるから
それに向かって努力している自分は偉い
そんな気になるから
多忙でいることに安堵していた

擦り減ってる

生活をする為
好きなことをする為
何だって理由はあるが
理想を追いかけていたら
いつの間にか疲弊していた

豊かだと思い込んでいたら
身も心も擦り減っている
気付いた時には痛みさえ麻痺していた

便利すぎる現代は
情報の雨の中にいるようだ
探さなくとも降り注いでくる
よけられない
その雨は欲望を刺激してくる
自らにないものを求め、欲しがってしまう
求めすぎていつの間にか自らを自らの行いで苦しめる

身を粉にする、という言葉がある
自分の体が砕けて粉になるほど努力する様が語源だ
努力は素晴らしいことだが
自分の体が砕けてしまっては本末転倒ではないか

「足るを知る」
本当の意味での豊かさを知る
家族があり友達がいる
食べるものがある
寝るところがある
今日も生きている
もうとっくに十分だ

<望世>

◆紹介曲「色彩
作詞:望世
作曲:ペンギンラッシュ

◆3rd Album 『皆空色』(かいくうしき)
2020年9月2日発売
VICL-65398 ¥3,000+税