20代で出会った彼女への最初のプレゼントに選んだのが交換日記でした

 2021年6月9日に“GOOD ON THE REEL”が『花歌標本』をリリースしました。結成15年目に放つ4年ぶりのフルアルバム。今作は“あなた”と“わたし”といった、身近な存在に対する想いを描いた楽曲が多く収録されております。15周年を迎え、ゼロから新たな自分たちの音楽を創りあげ、歌詞を付け、標本のように形あるものとして残したい、音楽に定義付けをしたい、そんな想いがアルバムタイトル『花歌標本』に託されております。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“GOOD ON THE REEL”の千野隆尋による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその第2弾です。綴ってくださったのは収録曲「交換日記」に通ずるお話。みなさんは交換日記ってやってみたことがありますか? 普段は言葉じゃ伝えないような気持ちを、あえて文字でちゃんと伝えてみると、何かが変わるかもしれません。是非、歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください…!

~歌詞エッセイ第2弾:「交換日記」~

まずはじめに交換日記とは、複数、又は1冊の日記帳を友人、恋人間などで共有し、順番に回して日記をつけたり、相手へのメッセージを書き込んでいくこと、またはその共有される日記帳自体のことをいう。

30代未満の方々は経験がない、むしろ交換日記という言葉すら知らないという方がいらっしゃるかと思います。僕が小学校の頃はおそらく全盛期で、交換日記用のノートが販売されていたぐらいブームでした。実際僕も小学生の頃、男女数人のグループで交換日記用のノートを使い、交換日記をしていました。

とはいえ、日を重ねるごとに書くことがなくなってくるわけです。毎日特別なことがあるわけでもないので、「今日は長谷くんと公園に行った。いっぱい蚊に刺された。」とか、「今日は秋ちゃんと駄菓子屋に行った。ブタメンのお湯が足りなかった。」とか、そんななんでもない夏休みの宿題のような日記でした。それでも当時はみんな夢中で、それこそ宿題のように書いていました。

それから10数年が経ち、そんな過去を思い出すわけでもなく、20代で出会った彼女への最初のプレゼントに選んだのが交換日記でした。鍵付きのとても可愛らしいノートを見つけて、二人でしか開けられない日記って素敵だなって思ったんです。直接言えないようなことでも気軽に伝えられて、お互いの仲を深めるにはもってこいじゃないかと思って。

同棲をしていなかったこともありますが、お泊まりの時は必ずと言っていいほどお弁当を作ってくれていて、そこにいつも書き置きを残してくれるような彼女だったので、よりぴったりなプレゼントだと思ったんです。

恋人って、距離が近くなればなるほど言いづらいようなこと、というか距離が近いからこそあえて言わないようなことってたくさんあると思います。そんなことも書けちゃうのが交換日記です。

どうでもいいことでも、相手にとっては嬉しいや幸せかもしれない。反対に悲しいや苦しいかもしれない。思いを伝えることによって、相手がどう転ぶかはもちろんわからない。それでもちゃんと文字にして伝えることで、何かが変わるかもしれない。良いことも悪いことも、伝えてくれなきゃわからないですからね。お互いに。

そうそう、古い友人と久しぶりに会って思い出話に花を咲かせていると、案外印象に残っている思い出って違ったりしますよね。むしろ自分は覚えてなかったり。人はどんなに近くにいても、一人一人思うことが違ったりするものです。だからこその交換日記。お互いをより深く分かりたいと思うなら、提案してみるのもいいんじゃないでしょうか。

<GOOD ON THE REEL・千野隆尋>

◆紹介曲「交換日記
作詞:千野隆尋
作曲:岡﨑広平

◆4thフルアルバム『花歌標本』
2021年6月9日発売
初回限定盤 POCE-92118 ¥4,000(税抜)/¥4,400(税込)
通常盤 POCE-12164 ¥3,000(税抜)/¥3,300(税込)

01 あとさき
02 交換日記
03 虹
04 35°C
05そうだ僕らは
06 オレンジ
07 そんな君のために
08 ノーゲーム
09 目が覚めたら
10 標本