友人の話を聞いて、私はすぐ「曲が書けそう」と、思った。

 2021年2月24日に“山本彩”がニューシングル『ドラマチックに乾杯』をリリース!タイトル曲は、土曜ドラマ『その女、ジルバ』主題歌。山本彩が描くドラマに寄り添った女性への“応援歌”は、歌詞はもちろんの事、ブラスバンドを加えたラテンロックという新しいジャンルに挑戦。このドラマの世界観にぴったりの楽曲に仕上がっております。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“山本彩”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「ドラマチックに乾杯」に通ずるお話です。彼女が自身の友達との会話から気づいた思いとは? そして歌詞を書く際に大切にしたいこととは…? 是非、エッセイを読んだうえで、じっくりと楽曲をご堪能ください!

~歌詞エッセイ:友達との会話~

はじめまして、山本彩です。
今回、歌詞にちなんだエッセイという事で
何を書こうか迷いましたが、
携帯のメモに書き留めていた
何気ない、古い友人との話をしようと思います。

私と友人は、よく一緒に映画を観に行き、
観終わったら、近くのお店で
感想を語らいながら食事をする。
何て事ない、いつも通りの私達の一日。

そして、暫くすると友人が話し出す。
そう、お決まりの恋愛相談。

友人には付き合って数ヶ月の恋人が居て
私はよく、その話を聞いている。

だが、内容の殆どは惚気ではなく愚痴なのだ。

二人で過ごす時間が増えれば
良くも悪くも、相手のことが見えてくるのは
普通の事なので、そこに疑問はないのだが
不満の理由を分かっていて
「別れたい」とまで口にする割に
一向に別れない友人自身が不思議なのだ。

「嫌なら別れればいいのに」
「どこが好きなのか?」
「都合のいい女になってはいけない」

色々と意見したものの、自分でも分からない、と
私の言葉は聞き流されてしまった。

お互い、本心ではなかったのかもしれない。

未だに全ては理解しきれず
疑問は残っているが
自分が持ち得ない経験を持つ友人に
少しの羨ましさがあった。
(こう書いてはいるが、友人との仲は勿論良い)

なぜなら、私のシンガーソングライターという仕事は
そういった経験から伴う考えや発想が
創作に大きく関係してくると思うからだ。

友人の話を聞いて、私はすぐ
「曲が書けそう」と、思った。
職業病というやつなのだろうか。

シンガーソングライターが作り上げた作品達は言わば
自分の生き写しのようなもの。
その人の人生や心が見える。

一方で
経験でモノを書くのは難しい事ではないが
経験だけでモノを書くのは難しい。
いつか経験というストックが尽きたら
書けなくなってしまう。

だから、それに想像を加えて

“100%実体験”の作品ではなく
如何に“100%実体験”っぽい
リアルなフィクションを書くかを極めたい、
と常に思っている。

皆さんにとっての何気ない日常も
他の人には羨ましく思える事が
沢山あるんじゃないかと思います。
この曲を聴いて、それぞれのドラマチックな日常に
乾杯し合える日が一日でも増えれば幸いです。

<山本彩>

◆紹介曲「ドラマチックに乾杯
作詞:山本彩
作曲:山本彩

◆ニューシングル「ドラマチックに乾杯」
2021年2月24日発売
通常盤 ¥1,200 +税
初回限定盤 ¥1,800 +税
FC限定盤 ¥3500+税