ぶっちゃけちまえば「本物」になって君の愛を根こそぎ奪いたい。

 2021年9月15日に“椎名慶治”がオリジナル5thフルアルバム『and』(よみ:あんど)をリリース!2つの世界(現在、過去)を知ることで、より深く、より強くつながる。今を生き抜くために、後ろを振り返り、【そして】前を見据える。2つの世界をありのままに感じさせる2 in 1な作品となっております。2020年11月10日にソロ活動10周年を迎え、新たなスタートを切る椎名慶治の最新作をご堪能あれ…!

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“椎名慶治”による歌詞エッセイを2ヶ月連続でお届け。今回は第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「アイムリアル」の制作秘話です。カッコいい原石(楽曲)を最大限に活かすための歌詞に迷っていたとき、作詞家・野口圭と交わしたやり取りとは。歌詞の裏に詰まった本音とは。是非、歌詞と併せてこのエッセイを受け取ってください。

~歌詞エッセイ:「アイムリアル」~

どうも椎名慶治(しいなよしはる)です。

知らない人も多いかと思いますが今日覚えてくだされば(笑)。

椎名慶治ソロ名義としては約3年振りのアルバムから「アイムリアル」にスポットを当てて文章書いといて!とスタッフから言われました。

あまりそんな事を過去に言われた事もないなぁと思っていたらなんと!歌ネットさんが掲載してくれるみたいな流れで。

自分の歌詞をど忘れして確認の為に物凄く利用させてもらってます!毎回本当に助かってますありがとうございます!バンザイ!イェーイ!

…が、一体どんなエピソードがあったかなぁ?と考え出したら、なんか他力本願な話にしか聞こえなくなりそうなエピソードしかないけど真実だしそのまま書きまーす(笑)。

では、最後までお付き合い頂けたらと。

そして少しでも椎名慶治と言う存在を気にしてもらえればと!

気になったら2021年9月15日にリリースされる『and』と言うアルバムから関係をスタートしませんか!気が早いですか!そうですね!

椎名ソロ初期から一緒に制作をしている山口寛雄(レコ大2回も取ってるすげぇ奴)と作曲した曲で、今回のアルバムに向けて最初に生まれたのが「アイムリアル」でした。自分が思うより更にカッコいい原石(まだ歌詞がないデモテープ)が生まれ(勿論山口寛雄のおかげ)俺は直ぐにペンを取る事が出来なかった。

「ひよった」って言葉が適切なのかな?

どうこの曲を最大限に活かせるのか?がパッと浮かばない。間違いなくアルバムで1番の推し曲になると感じていたからこそ。個人名義では3年振りのアルバムと言えどもその間制作が止まる事は一度も無く、別の名義でリリースを続けていました。1年に1枚フルアルバムをリリースしてるんですよ(SURFACEってユニット知ってます?)。コレって結構ハイペース。だからこそなんですけど、ソロとユニットの線引きが自分の中で上手く出来ないでいたんですね。

何をもって個人、ユニット、明確な答えはきっと無いと思うんです(あるのかな?)。それでもやはり少しこだわりたい部分でもある。

じゃないと、

Q:何の為にソロをやっているの?

と問われた時に、

A:なんとなく

になってしまう。なんとなくやってる音楽を自信をもってみんなに届けられるわけもない。こう言った悩みは初めてではなく、毎回起きる。

ありがたい話でもあるんです。個人名義以外に、ユニットやバンドなど、様々な顔で歌を唄ってきたわけですから。恵まれてるよなって思ってはいるんです。いるけど迷うじゃん!(なんかキレた)

そんな時にキッカケをくれるのが作詞家の野口圭(以下:野口)で。小学校低学年からの友人なんだけど、とにかく迷った時はいつも彼に頼ってしまう。

野口は俺に一緒に音楽をやりたいと言ってきた初めての人でもあるんですよ。

結局、実力的に裏方(表現としてあってるのかはわからないけど)として支えてくれる形になりましたが、そんな野口といまだに仕事が出来てるなんて凄い事ですよね。

そんな彼から返ってきた最初の提案を一字一句いじらず、届いたメッセージのまま添付したいと思います。


野口:まだまとまってないんだけどね。
彼女に写真写りが悪いって言われて、それって逆に言えば本物の方がかっこいいってことだよね?みたいな流れで、本物がいいよねとか本物でありたいとか本物になりてーんだよみたいなのってどうかな?
ありのままで本物みたいなのもあるけど君に見せたいのはそう言うのじゃないんだよみたいな。



野口の許可は得ていないが(笑)、こんなメッセージが返ってきた。

あ、そうそう、2人のやりとりは主にメッセージだけのやり取り。電話で話すなんてしない。むしろ彼の電話番号を俺は知らない(機種変でデータ消えて以来謎)。

お互いある程度歌詞をいじったら相手に投げる。投げた歌詞を見て更に歌詞を進める(1番までの歌詞が来たら2番を書いたり)。そんなキャッチボールを数回繰り返して形にしていくのが俺と野口の歌詞の書き方。

その取っ掛かりとして、今回テーマが「本物」となったわけです。そこからは話が早かった?と言えばそうでもなく多少時間のかかった歌詞ではありました。

ふざけ過ぎず、真面目過ぎず、軽快なノリで、だけど言いたい事が伝わるギリギリのラインを狙うわけですから。


椎名:野口の歌詞だとBメロで一旦答え出ちゃった気がするんだよね。

野口:そう!Bメロなんだよね!Bメロがサビ側のチームにいるのが問題だったんだよね!俺も今日それに気づいたw
ありがとうございます。その感じで進めてください。

椎名:御意。



今度は逆に野口が俺に歌詞を預ける。こうやってお互いの得意そうな部分を相手に任せる事で更に歌詞の精度を上げていける。なかなかこんな書き方をするアーティストはいないと思う。

そこから今度は2番までを書いて野口に送る。


椎名:ねぇ 逆に君ってば スマホの中じゃキラメイちゃってるけど
あぁ 最近ちょっと もしかして 太ってきて…いやなんでもないです

野口:2Aいいなぁ



元々描いたテーマから大きくそれないように、何度もやり取りを繰り返して行く中でゴールを目指していく。

途中からはこの歌詞の世界観だけではなく、自分自身がもっと「本物」のアーティストになりてぇなぁなんて想いもこの曲にぶつけていた事を覚えています。

その全てをぶつけるラストサビの、専門用語で言えばオチサビなんて言われる2行に全ての想いを託しました。


ぶっちゃけちまえば 「本物」になって
君の愛を根こそぎ奪いたい



結局愛されたい!なわけです(笑)。その為にはもっと素敵な人(本物)にならないとね!ってアーティストとしても同じ事が言えるなぁと。

ミニマムな恋愛の歌詞でありながら、その裏には本音が詰まったそんな歌詞になっていますよと。

ソロで10年が経ちました。

ソロとしても様々な楽曲を歌ってきましたが、いまだにこんな凄い曲(断言します凄いです)を世に生み出せる事に安堵してるし、俺は本当に周りに恵まれているなぁと。

俺より才能溢れる右腕が何本もあります(笑)。

コレからも他力本願で素晴らしい楽曲を作り続ける所存です。←

是非一度聴いてみてくださいね。

先ずは「アイムリアル」から! 

その先はフルアルバム『and』がありますからね!

気が早いですか!そうですね!


<椎名慶治>

◆紹介曲「アイムリアル
作詞:椎名慶治・野口圭
作曲:椎名慶治・山口寛雄

◆オリジナル5thフルアルバム『and』
2021年9月15日発売
HWCL-0046 ¥3,300(税込)