きっとお花を飾る前からその人の存在は特別だった。

 2022年3月9日に“上野優華”がデジタルシングル「ジャスミン」をリリースしました。「友情・応援」をテーマに上野優華本人が作詞。歌詞には、昨秋のツアーを経て感じた思いなどが込められております。そして作曲を手がけたのは、山崎あおい。過去に「会いたくない、会いたい」楽曲提供しており、今回が2度目の楽曲提供です。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“上野優華”による歌詞エッセイをお届け!今回は【後編】です。綴っていただいたのは、新曲「ジャスミン」に込めた思いです。彼女が花を自宅に飾るようになったきっかけとは。そして、そのきっかけのおかげで気づけた大事なこととは…。みなさんにとっての、大切なもの、守りたいものはなんですか? 歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。



お花は好き。
 
自分の名前にも「華」という字があるし
祖父はお花がとても好きで、
実家には季節ごとに色んな花が咲いていたから。
 
でもなんだか、自分に必要なものだとは感じられなくて
今の家に飾ったことなんてなかったし
自分で買ったこともなかった。
 
関心が無いわけじゃない。
興味が無いわけじゃない。
 
見れば綺麗だと思うし
素敵だなと思う。
 
ただ、うん。
必要だと思えなかった。
 
枯れてしまうのが悲しいし
手入れするほど几帳面な人間じゃない。
 
そんな私だけど、今は自宅にお花がある。
きっかけは、初めて家に飾った
2年前、誕生日プレゼントとしていただいた
赤、黄色、青のバラ。
 
その人が私にとって大切な、特別な人だったから
どうしても残しておきたかった。
 
同じ花だけど同じじゃない。
デビューからずっと支えてくれて
見守ってくれているスタッフさんからいただいたお花。
 
私なりに考えて
“ドライフラワー”にして飾った。
 
綺麗な仕上がりじゃなかったけど
お花屋さんに並んでいるお花よりもずっと素敵に見えた。
 
いつもと同じ部屋なのに
少しだけ幸せで、少しだけ温かくて、もう少し頑張ろうと思えた。
 
この気持ちがきっと
その人がかけてくれた魔法なんだと今では思う。
 
私にはそんな魔法は使えないかもしれないけど
私には歌がある。
 
ジャスミン」はそんな気持ちも込めて書いた一曲です。
 
きっとお花を飾る前からその人の存在は特別だった。
それなのに、きっかけがないと気づけなかった私がいました。
 
“くだらない そんな毎日に
守りたいものが隠れていて”
 
大切なものって
守りたいものって
今、手に入れているものだったりする。
 
それに気づいた時にだけ味わえる幸せがあると思う。
 
この歌が、紡いだ言葉が
あなたの幸せのお手伝いを出来たらいいなと思います。
 
そして、そんな幸せがあなたの周りにも広がっていきますように。
 
いただいたひとつの花束が
私を変えて、曲になり、さらに多くの幸せを作ってくれる。
 
ありがとう。と、いつか私もこの曲とともに贈りたい。
その時まっすぐ目を見て伝えられる私でありますように。

<上野優華>



◆紹介曲「ジャスミン
作詞:上野優華
作曲:山崎あおい