こんなにも人が溢れる中で、やっと見つけた君なんだ。

 2022年8月31日に“GOOD ON THE REEL”が、ニューアルバム『P.S. モノローグ』をリリースしました。今作は、昨年6月にリリースされた『花歌標本』以来1年2カ月ぶり、GOOD ON THE REELにとって5枚目のオリジナルフルアルバム。“独白”の意味を持つタイトルが示す通り、現在のメンバーのリアルな本音や心情が表現された作品になっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“GOOD ON THE REEL”の千野隆尋による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回が最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「同じ空の下で」に通ずるお話です。今この瞬間も同じ空の下で生きている、すべてのあなたへ。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



僕らが眠りにつく頃、
ロサンゼルスを朝霧が覆って、
シカゴには眠たい目を擦るサラリーマン。
ブラジルでは
何を食べようかと昼食にお腹を空かせ、
イギリスでは
おやつのクッキーを焼き始める。
フィンランドは
もう夕食を食べ始め、
タイでは
喧騒の隙間に子守唄が響く。
 
それは全て、同じ空の下で。
 
例えば僕が空を見上げた瞬間に、
誰かはベランダでタバコに火をつけて、
誰かは待ち合わせ場所にやっと彼氏が来て、
誰かは時間潰しにゲーセンに入り、
誰かは公園のブランコを漕ぐ。
 
そうそれも全て、同じ空の下で。
 
似ている人がいたとしても、同じ人はどこにもいない。
だからこそ僕らは
惹かれ合い、求め合い、助け合い、見つけ出すのだ。
 
同じ孤独を背負って、全く違う環境の中、沈まないように足掻いて、
やっとの思いで息継ぎをしながら、それぞれにたどり着いた今日。
 
こんなにも人が溢れる中で、やっと見つけた君なんだ。
だったらそう何度でも、何度でも君を見つけ出す。
そう何度でも、何度でも。
君と、同じ空の下で。

<GOOD ON THE REEL・千野隆尋>


◆紹介曲「同じ空の下で
作詞:千野隆尋
作曲:千野隆尋
 
◆5thオリジナル・フル・アルバム
『P.S. モノローグ』
2022年8月31日リリース
 
<収録曲>
01.WonderWant
02.ファンファーレ
03.ナツメロ
04.Dreamer
05.シネマスコープ
06.同じ空の下で
07.Fade out
08.当たり前
09.ダンス
10.0