手紙には、書いた瞬間のあなたが宿る。

 2022年8月31日に“GOOD ON THE REEL”が、ニューアルバム『P.S. モノローグ』をリリースしました。今作は、昨年6月にリリースされた『花歌標本』以来1年2カ月ぶり、GOOD ON THE REELにとって5枚目のオリジナルフルアルバム。“独白”の意味を持つタイトルが示す通り、現在のメンバーのリアルな本音や心情が表現された作品になっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“GOOD ON THE REEL”の千野隆尋による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第1弾です。綴っていただいたのは、ニューアルバム『P.S. モノローグ』に通ずる“手紙”のお話です。手紙とはどんな存在のものなのか。そして今作にはどんな想いを込めたのか。ぜひ、楽曲と併せてこのエッセイを受け取ってください。



最後に手紙を書いたのはいつだっただろう。
 
どんな便箋に、
どんな文章を書いて、
どんな封筒に入れて、
誰に宛てたっけ。
 
いただくことはあっても自らペンを取るとなると、
自分の思いをどう書いていいものかわからなくなる。
 
だからこそ
いただく手紙には正直驚かされている。
 
まず手紙をくれた時点で、
伝えたいという気持ちがダイレクトに伝わってくる。
内容がどんなに乱文だとしても、
思いをどうにか言葉にしようとする行為自体が、
本当に素敵なことだと思う。
 
それから
こんな歌詞の捉え方があるのかとか、
ライブでこんなことを感じてくれていたのかとか、
僕らに対する思いや曲に対する思いが、
僕の中にはない発見や発想を見出してくれる。
 
それを自分なりの言葉や表現で、
さらには一人一人違う筆跡で伝えてくれる。
 
手紙には、書いた瞬間のあなたが宿る。
まるで僕らにとっての音源みたいだ。
 
P.S.=追伸、モノローグ=独白。
本文では主にあいさつや用件、必要なことを書く。
そして追伸には、
その時ふと思ったことや起こった出来事、
自分と相手にしかわからないような、
一見何でもないようなことを書く。
 
そこにこそリアルな日常があって、
それこそが整理された台本にはない独白のように思う。
 
僕らのモノローグが、
聴いてくれたあなたのモノローグまで届いてくれたら嬉しい。
 
そうしてこのツアーでは、
僕らとあなたとで交わす、
言葉すら超えたダイアローグを期待している。

<GOOD ON THE REEL・千野隆尋>



◆5thオリジナル・フル・アルバム
『P.S. モノローグ』
2022年8月31日リリース
 
<収録曲>
01.WonderWant
02.ファンファーレ
03.ナツメロ
04.Dreamer
05.シネマスコープ
06.同じ空の下で
07.Fade out
08.当たり前
09.ダンス
10.0