顔が同じではない双子が同じ生き方を選んだ話。

2020年9月22日に“フレデリック”がNew EP『ASOVIVA』をリリースします。今作には、リモートで制作された新曲3曲と7月に配信リリースした「されどBGM」含む4曲を収録。そして、7月18日に行なったアコースティックオンラインライブから2曲の音源を収録、初回盤CDのみ1曲がさらに加わる。フレデリックのバンドセットとは異なる、アレンジの冴え渡るアコースティックスタイルを聴いて観て楽しめる内容となっております。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“フレデリック”の三原康司による歌詞エッセイを2週連続でお届け!今回は【前編】です。まず綴っていただいたのは、フレデリックというバンドの軌跡。そして今作『ASOVIVA』が誕生するまでの想い、これまでと今とこれからの意志についてです。『ASOVIVA』を堪能するその前に是非、このエッセイをじっくりお楽しみください…!

~歌詞エッセイ【前編】~

とあるラジオ収録の前、駅近のカフェに入った。このコラムを書く為アイスコーヒーを頼み居座るという魂胆で。そういえばカフェに入ると決まってコーヒーを頼む。もう習慣付いて他に手を伸ばしてない事に気づき意欲的じゃないなどとグラスの水滴を拭きながら考えてた。

何を書こうか、まず自己紹介させていただくと自分はフレデリックというバンドで作詞作曲をし、ベースを弾いている。

今回少し歌と兄の話をしようと思った。

なぜ兄なのかというとフレデリックというバンドは実の兄である健司がボーカルで我々は双子である。双子と聞くと真っ先に想像するのは同じ顔。しかし自分達は二卵性双生児という顔が似てない双子である。誕生日が同じ兄弟のようなもの。そんな兄に誘われこのバンドが始まった。

結成当初、ボーカルの椅子は奪い合いました!双子同じ考えなので!という面白エピソードもなくパートは決まっていた。同じ日に生まれ、同じ環境で育った僕らは心と体の成長と共に性格や考えにも違いが出て、健司は「歌」自分は「作り手」という自分らしさをすでに磨いていたからだ。だから話は早かった。

話は現在に戻り今年2月下旬、バンドは全国ツアーを経て二度目のアリーナ公演を演った。その直後、状況は変わり緊急事態宣言が発令された。そこで自分達なりにすぐさま行動し制作した作品が今回の2020年9月22日リリース『ASOVIVA』というEPだ。

制作前、この春に緊急事態宣言が出てリモートでの話し合いの中、健司の発した言葉に感銘を受けた。「俺らは音楽を絶やさないよう届けよう」という些細な一言。その言葉から感じる姿勢は長年のライブステージでの立ち姿と同じだった。

そこからEPの制作が始まった。こちとらその姿勢を見せられたなら頑張っていい曲作ってやんよという闘争心みたいなものも生まれてくる。これは兄弟ながらなのか。ひたすら歌について考える。そして完成が近づき健司の歌声が入る瞬間、いつも景色は変わるのだ。

そんなお互いの居場所を理解して違いを認め楽しみ尊重し生きてきた自分達は、同じになんてならなくていい、ということを感じてきた。人との違いを楽しみたいと常に思ってる。混乱した時、人は人を傷つける、違いを認められないから。それぞれ個性が合わさってひとつになる素晴らしさを知ってる自分達だからこそ、この「個性」を絶やさず音楽にするんだとも思う。

そんなこんな書いてるうちにラジオの時間が迫る、これから健司と2人だ。よくあがるラジオネタの双子あるあるを違う顔で笑いながら和気藹々と話すと思う。次カフェに来た時はいつもと違うドリンクを頼もうと思う。

<三原康司>

◆New EP『ASOVIVA』
2020年9月22日発売
初回盤 AZZS-110 ¥2,400(tax out)
通常盤 AZCS-1095 ¥1,300(tax out)

<収録曲>
1.Wake Me Up
2.されどBGM
3.正偽
4.SENTIMENTAL SUMMER
5.リリリピート (FAB!!) Live at FABO!! 2020
6.ふしだらフラミンゴ (FAB!!) Live at FABO!! 2020

7.終わらないMUSIC (FAB!!) Live at FABO!! 2020 ※初回盤のみ収録